第4号 ブナオ峠ソロツーリング

 

1980.9.21

 9月21日午前7時、筆者はブナオ峠へ向かうべく一人自宅を後にした。
 ブナオ峠は筆者にとって未開の地である。しかも、ソロツーリングとあって心細い。うす曇りの空が筆者を一層心細くさせる。福光へ向かう途中 「回り道」 の看板の誘いにのり、約30分のタイムロス。しかし、地図を頼りになんとか刀利ダムにたどり着いた。ここで10分間の休憩をとり、山の中へとペダルを踏んだ。
 日曜日のため山菜採りの車が一杯いた。一つの灯りもない滝谷隧道を抜けてしばらくすると、林道らしい景色が見えてきた。
 中河内の道が分かれるところで車が下ってきたので、先に行ったと思われる福沢君のことを尋ねると、 「30分程前にすれ違った。」 とのこと。うまく行けば追いつくかも知れない、と思うと気が楽になった。
 長瀞峡近くで、今度は大坂ナンバーの車が下ってきた。筆者が手をあげる前に向こうが止まった。
 「この道、刀利ダムへ行けるんですか?」
 「はい、( ここで地図をだし ) 今ここやから、もう少しです。」 と 筆者。
 「何分位?」 
 「30分位ですかね。ところで、ボーズ頭のサイクリストを見かけませんでしたか? 」
 「15分位前に会うたよ。」
 「どうも。」 と 車は下っていった。
 下小屋橋を過ぎた所でトラブル。R.Dのプーリーが外れてしまった。幸い、飛んで行かなかったので助かったが、福沢君との合流の夢は散った。
 下小屋まで来ればブナオ峠はもうすぐのように記してあるが、どれだけたっても峠どころか不動滝さえない。不安になってくるが前進するしかなかった。無事峠に着いて一人飯を食っていると車が登ってきて、「もう一人サイクリストが来る。」 という。しばらくすると霧の中を一人のサイクリストが押しながら上がってきた。話を聞くと、いつもソロらしく、食事はいつもパンだそうで、フルーツポンチを勧めたが断られた。ここから彼と一緒に走ることにする。
 西赤尾に下りたところで彼の車のチェーンが切れた。結局、コマを一つ詰めて修理完了。あとは割とハイペースでR304の分岐点までノンストップで走った。彼は細尾峠へ向かったため、ここで別れた。思えば、宇田Cとよく似た人であった。二人でいたことよりもR156に出たということで、気軽に走れた。
 4時頃筆者は二塚サイクルの戸を開けた。

 後日、二塚サイクルで福沢君のことを聞くと、彼はブナオ峠を越えた後、山の神峠Aを越え、途中で会った車の人に、同日猫池へ向かった石瀬さんのことを聞いたそうである。
 それを聞いた仲間が一様に驚きの声を漏らしたのは言うまでもない。   
宅美


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