第9号 実話乗鞍岳剣ヶ峰 6時間24分の死闘

 

実話 乗鞍岳剣ヶ峰 6時間24分の死闘

1983年8月21日
参加者  
宇川、福沢
 
紀行文  宇川

 S53.8.21(土) 外は霧雨である。二日前、北松本駅で無事?福沢君と合流し、今は乗鞍高原Y.Hである。重い重いひたすら重いサイドバッグを外したのでとても気が楽である。Fバッグに着替えなどを詰め、07:50出発。
 1,700mの高原の朝となると、とても清々しい。しばらくして国民休暇村ロッジに着いたので、Y・Hのおにぎりを食べミーティング。この時に挫折は絶対しないでおこうと決め、ロッジを後にする。が、5分で夜泣峠に着いてしまい気が抜けてしまう。晴れていればかなり展望が開けていそうだが一面は真っ白。
 ここでY・Hで同室だった東京のM氏と合流。先に行ってくれとの事なので三本滝の入口から一緒に走ることにする。09:15に滝入口に到着。標高と共に物価が比例している。食堂の軒下で雨宿りをしていると2人のサイクリストが速いペースで上がって行った。09:35M氏と合流し、ゆっくりペースで出発。どうやらここで高原は終わりらしく、いきなり勾配がきつくなりだす。晴れていればいいなぁ〜と思う所が沢山あり非常に残念。コーナーでは滑り止めが出現しメチャきつい。何十回も休み、急に硫黄くせぇ〜と思ったら冷泉小屋であった。ここで、水の補給・記念撮影。
 11:00再びペダルを漕ぐ。しばらくしてコース中(畳平まで)唯一のダート区間に入るが、すぐに舗装されるらしく整備されていた。20分で位ヶ原山荘着。シーズン中なのになぜか閉まっており、軒下で雨宿り。ここからは3人バラバラになり福沢、宇川、M氏の順に。大型F&サドルバッグ装備のM氏は当然遅れ出す。何度も何度も平らな場所に出くわし、これが畳平かと思うと道は更に、更に続いていく。一時3人集合し、福沢君の話を聞くと、ずっと向こうに見える切り通しが畳平との事。またソロになり「雪、ゆき、ユキィ」と喜ぶラクダ人を横目で見ながら12:20、ようやく岐阜県境に入り鶴ヶ池が見えた。大勢の人、ひと、ヒトでビビッてしまう。これが本当に2,700mという場所か?と思った。死闘4時間36分にも及ぶドラマの第一部が終了した。
 食堂で一番安い650円のカレーを食べ、非常食&バッジを買い、飛騨古川で知り合った3人に絵はがきを書き郵便局に行った。内にあったストーブが非常に暖かかった。何度なのであろうか。外は寒くてたまらない。ちなみに今日はシャツ、Tシャツ、トレーナー、ウインドブレーカー、カッパ、軍手をしていたがこれでも寒くてたまらん。
 13:45肩ノ小屋へ向かう林道に入る。沢山の下山者がおり言うことが決まっている。「あれぇ〜!自転車やがいねぇ〜」と富山弁で言ったかどうかは定かではないがそのような事の連続。「がんばられ」の一言が欲しかった。しかし白い目で見られるよりはましと思い言われるたびに相づちをうっていた。

 そうこうするうちに、ドラマは2部に入る。
 14:15肩ノ小屋。雨が降ってきた。後を振り返るとサイドバッグを付けた化け物が出てきた。化け物氏はお先に登山道に入り5分位たった後、いよいよ出発。砂れきで思うように前へは進まない。道の横にあるロープを目印にしてゆっくり、それでも確実に高度を稼ぐ。下山者からの応援等を貰い(先程とはかなり違う)、化け物氏と合流。先に行かせてもらうことにする。と、前方からサイクリスト2人が下りてきた。どうやら三本滝の入口で出会った人達らしい。会ってビックリ。2日前、平湯の上りで出会った九州工業大学の2人であった。
 砂れきから岩場、また砂れきとようやく朝日岳分岐に着く。ここから少し平坦で、グオーッと上ると頂上だそうだ。仮の頂上小屋の前を通過し15:43 T.C.F では摺出寺さん、福沢君(15:41着)、と3番目になった。頂上小屋は閉まっておりサイクリスト専用名簿にお目にかかれず非常に残念だ。写真を撮ったりして16:00下山開始。化け物氏まだ来ないようである。近道があったので利用するが、殆ど引きずり下ろし肩ノ小屋に戻った。M氏はここからスカイラインを下ると言う。今日中に高山に着きたいそうで「見つかれば始末書でも書くさ。」と言って別れた。
 さぁ、日本一豪快なダウンヒルの始まりだが、コーナーの連続でスピードが出せなかったがおもしろかった。三滝の入口では牛三十頭位が道でお散歩していたのには驚いた。4時間36分もかけた所を41分で下り、Y・Hへ戻った。ミーティングでは先程の化け物氏もおられた。
 翌日は平湯でサイクリングをやり始めて5年目にして初めて外人(米)サイクリストと出会った。
 5日間、毎日雨という悲惨な日であったが長距離ツアーが大好きになってしまいました。
 おしまい。

 

冷泉小屋

畳平かな?

剣ヶ峰頂上

帰路、安房峠

 

乗鞍岳

無線の免許取り立ての頃、長助と二人で行ってきた
頂上でCQを出すと、中学時代の友人が応答してくれた
「お前、なにしとん?」
「無線、、、」
「暇やのぉ〜」
「暇だもん!(開き直る)」
「あ〜たら、こ〜たら、、、(会話が進む)」

こんな所でローカルQSOするとは思わなんだ




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